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【視察報告】日本最大規模(生徒数約33,000人)・世界最先端のオンライン学習環境〜N高・横浜キャンパスを視察しました
9月4日、立憲民主党神奈川県連政策調査委員会で、ネットで学ぶN高校・S高校・R高校(以下、N高グループ)の横浜キャンパスを視察しました。グループの校長補佐、鳩英昌氏から沿革やネットを駆使した最新の教育内容などを説明していただきました。

「N高職員からの説明を聞きました」
1.N高とは? 2.キャンパスは全国100ヶ所 3.学びの全体像 4.教職員体制 5.生徒会活動 6.学校生活満足度と最先端教育の取り組み 7.卒業率・進級率・継続率は? 8.Q&A 9.まとめ |
1.【N高とは?】
N高グループは、KADOKAWAとドワンゴが中心となって、学校法人角川ドワンゴ学園が2016年4月に開校した、「ネットの高校」を掲げる通信制高校です。
N高等学校(本校 沖縄県うるま市・2016年4月開校) 、S高等学校(本校 茨城県つくば市・2021年4月開校) 、R高等学校(本校 群馬県桐生市・2025年4月開校)の3校をあわせて、生徒数は32,613人(2025年3月31日時点)と、日本最大規模の高校です。
世界最先端のオンライン学習環境をベースに、ネットコース(オンライン学習がメイン)に加えて、通学コース(週5日・週3日・週1日の3パターン)が用意されるなど、生徒が自由に授業形態を選択できます。
2.【キャンパスは全国100カ所】
2016年4月にN高を設立し、 2018年4月には通学コースの横浜キャンパスを開設しました。通学コースのキャンパスは全国に100カ所あり、神奈川県内には横浜、川崎、溝の口、相模原橋校、横須賀、湘南平塚、本厚木の計7カ所を開設しています。
2019年にはフリースクールのN中等部(プログレッシブスクールと呼称) 、2021年にはS高を開校して、ここからVR機器を活用したバーチャル教育を開始しました。22年には世界最高の学校賞のイノベーション部門ファイナリストに選出され、25年4月にはR高校を開設し、現在は3つの広域通信制高校を運営しています。
3. 【学びの全体像】
高校卒業資格取得のための必修授業に加え、課外学習としてネットとリアルの場でさまざまな学習機会を提供しています。課外学習には300以上のコンテンツがあり、小中学校の復習講座から大学受験講座、プログラミング講座まで受けられます。職業体験や21世紀型スキル学習、国際教育プログラム、起業部、投資部、政治部研究部といった実践的な部活動も用意しています。「増えた時間でやりたいことを学ぶ」、「好きなことを好きなだけ学ぶ」など、将来につながる多くの経験ができるプログラムが用意されています。
又、ICTツール(Slack、Zoomなど)を活用して、ネットでもリアルでも友達(日本全国・海外)ができる環境があり、友達ができることで学習や学校市活へのモチベーションが格段に上がります。ネット部活やネット遠足、バーチャル体育祭、文化祭、委員会活動などを通じて、生徒が自ら望むコミュニティをつくれるよう支援しています。
4. 【教職員体制】
教職員にスマートフォンとノートパソコンを支給し、教務システムを通じて生徒の基礎データや応対記録、学習状況を把握できるようにしています。教職員は分業制を採用しており、教科指導、メンター、課外学習、学校行事の企画運営、生徒指導、教材作成など、専門分野に特化したチームで構成されています。学習計画の相談や進路指導など、生徒1人1人に寄り添った相談ができるメンターやTA(ティーチング・アシスタント)が手厚いのも特色です。弁護士や臨床心理士、社会福祉士、元警察官なども在籍し、それぞれの専門を活かして生徒をサポートしています。
学内で使用するツールとしては、Slackを使って生徒同士、生徒と教職員、教職員同士のコミュニケーションを行い、Zoomでオンライン授業や生徒面談を実施しています。生徒の学習システムでは、学習の進捗を教職員だけでなく生徒自身や保護者も確認できるようになっています。
5. 【生徒会活動】
生徒が自分達自身で物事を決められる生徒会を目指しており、年間予算1000万円で学校に必要な物品購入や同好会活動などの配分などを生徒自身が決定しています。
6. 【最先端教育の取り組み】
バーチャル学習と生成AIの活用では、VRを使った必修授業や英会話、コミュニティづくりを行っていること、生徒向けのAIガイドラインを作成した上でAIを活用する授業を展開しています。
生徒組織としてAI共市委員会を設置し、生徒自らがAIの積極的・継続的・持続的な活用方法を考える取り組みも行っています。
7. 【卒業率・進級率・継続率は?】
2022年度に入学し2025年3月に卒業した割合は86.14%で、1・2年次に必要単位を取得し、3年次を迎えた生徒の卒業率は98.95%となっています。
進路決定率は過去最高の 95.04%で、大学進学率は45.54%、専門学校は22.14%、就職は10.28%となっています。特に「未定」の割合を5%未満に抑えられ、高い進路決定率の結果となっています。
大学進学実績としては、東京大学に7名合格(うち5名が現役)し、特に1名はN中等部から6年間在籍して東大に現役合格しました。また、海外大学への合格者も多く203名が合格し、全国の高校で2番目の多さとなっています。
N中等部からN高に進学した生徒の大学等進学率は60.4%で、高校からN高に進学した生徒の大学進学率より高くなっています。
8. 【Q&A】
Q1.N高という校名の由来は?
A→学校名で生徒を縛ることはやめようと考え、アルファベット1文字にすることで、いろいろ想像できるものを生徒自身が見つけられるようにしました(NetのNではないそうです)。校名を制限する法律はありません。N高の設置認可を沖縄県に提出したら「これは仮称ですね」と問われ、「いや正式な名称です」と応じました(笑)。
Q2. N高・S高・R高の違いは?
A→3校とも教育内容は共通で、違いは2年次に課せられるスクーリング(リアルの授業)の場所だけです。各校の生徒は自分が在籍する本校でスクーリングに参加します。N高の生徒は沖縄、S高の生徒はつくば、R高の生徒は桐生に行くことになります。通信制高校のスクーリングは、各都道府県から許可された施設で行うことが定められています。
Q3. 職業体験の具体的事例は?
A→課外授業として、リアルで体験する職業体験や、留学プログラムが用意されています。職業体験では農業や漁業、ものづくりなどを具体的に体験するプログラムがあります。具体的には、イカ釣り漁、鍛治工(刀づくり)などの実践的な学びの機会がありました。
Q4. ネット部活動の具体的事例は?
A→ネット部活の部員数は7,916名(2023年3月時点)。ネットを中心に活動を行いますが、イベントなどでリアルの場で活動することもあります。部員同士の交流が盛んで、第一線で活躍するプロによる直接指導の機会があります(→具体的には、投資部:村上ファンドの村上氏が特別顧問、起業部:家入一真氏が特別顧問、政治部:LINEヤフー川邊健太郎氏が顧問、麻生太郎・枝野幸男などの政治家をゲストに)
その他の部活動としては、eスポーツ部、美術部、音楽部、プログラミング部、クイズ研究部、人狼部、囲碁部、将棋部、ダンス部、研究部など。
9. 【まとめ】
「これからはオンラインの学校が本流になる」という理念のもと、ドワンゴのDNAを受け継いでつくられたN高。
生徒の自主性を尊重した自由な学習環境のもと、1人1人の生徒についたメンターやTA(ティーチング・アシスタント)に相談しながら、個別最適化した学習計画をたて、学びの進め方や自身の進路を自由に決めていく(習熟度別学習、個別最適化学習)。学習が大きく進んだ生徒は、大学生のカリキュラム(授業)を選択してうけられるなど、従来の教育制度の枠には囚われない「未来の学びの姿」を、N高は実践し成果も出しています。そして、過去10年間の実践の積み重ねによって、「通信制高校」の従来のイメージを払拭して、学び方の新たな選択肢として「積極的に選択される高校」となっています。
通学コースが出来たものの、オンラインの学習がメインとなっている為、学習の継続性(勉強をさぼらない)や、リアルの対人コミュニケーションなどが出発点の一つのようです。が、その課題を克服するにあまりあるプログラムが用意されており、「やる気」さえあれば、「より広い」「より深い」学びが実践できるのが、現在のN高であると考えます。
様々な観点で公教育の問題が指摘されており、日本の将来やこども達の未来を考えると、公教育の改革・改善が急務です。公教育の改革・改善は一筋縄にはいきません。が、今回のN高の事例ように、最先端の教育手法を学び、良い部分を積極的に取り入れていく。日本の将来やこども達の未来の為に、着実に進めていくことが重要です。
今回の視察で得た学びは、立憲民主党・神奈川県連・所属議員の各々の議会で、質問や政策提言に変えていきます。

「創造力が上がるブルックリンスタイル(レンガ張り他)の教室」

「N高には制服もあります(2026年4月より、コシノジュンコ氏デザインの制服にリニューアルするそうです)」